Sick City
エピローグ

 お屋敷では、蓮見達を含めた全員がテーブルに座っていた。静ちゃんを除いて。
「ふむ、青い肌の女が静をさらったのか」
 蓮見から詳しい説明を受けていた爺ちゃんが、緑茶の入った湯飲みを口に付ける。
「なんて言うんだろ、ちょうどアラビアンナイトか何かに出てきそうな、ベリーダンサーみたいな格好の女だったな。全く面目無い」
 蓮見にしては、実に申し訳無さそうな沈んだ表情。それを美雪ちゃんが庇う。
「いえ、この私が取り逃がしてしまったのです。同じ神同士の筈なのに、全く敵いませんでした」
 どうやら美雪ちゃんは、静ちゃんをさらったとか言う女と一戦交えたらしい。そこに叶さんが一言付け加える。
「安否も気掛かりなんだけど、静ちゃんの体調も心配ね」
 以前、霊園にて静ちゃんに何らかの術を掛けていたのを思い出す。それが気になった私は、思い切って叶さんに事の詳細を聞いてみる。
「以前から気になっていたんだけど、静ちゃんって何かの病気なの?」
 しかし叶さんは即座に首を横に振る。
「いえ、別に病気って訳じゃないわ。簡単に言えば、呪い、かしらね」
「……呪い、ねえ」
 今イチ、ピンと来ない話だった。具体的な話を聞き出そうかと思ったけど、その前に爺ちゃんが結論を出してしまう。
「さらった、と言う事は殺すつもりはあるまい。今のところは、って話になるがな。しかし敵の勢力は色々と入り乱れていて、複雑なようだ。兎も角、一刻も早く静を捜索しなくてはならんだろう」
 やはり捜索という事になるか。静ちゃんの体調に関しては私ではどうにもならないし、そっちは叶さんに任せるしか無いだろう。逆に捜索という分野なら、私の出番だ。
「こりゃ、私の本領発揮ってところかな?捜索に向いているのは私と蓮見、それに美雪ちゃんかな」
 レーダー能力のある私と現役高校生スパイの蓮見、そして蓮見と同じリーディング能力を持つ美雪ちゃんが適任だろう。蓮見も美雪ちゃんも納得しているのか、それぞれ頷く。
「ああ、絶対に見付けてやるさ」
「勿論ですわ。あの女には借りを返さなくてはなりませんし」
 さらに叶さんが名乗りを上げる。
「静ちゃんの体調が心配だから、私もいざという時の為に付いていくわね」
 こうして、捜索隊四名が編成される事となった。


〜To Be Continued
第十話・剣聖無双
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